ラヴォーのぶどう畑の中にある、リヴァ村のラヴォー・ヴィノラマ(Lavaux Vinorama)。
ラヴォー中のワインが集まる、試飲・直売所です。
スイスのワインは生産量のほとんどが国内で消費されると言われていて、日本ではまず見かけません。
その「現地でしか飲めないワイン」を、私たちはここでまとめて味わいました。
ラヴォーのワイン約300本が集まる場所
ヴィノラマは、ラヴォーのワインを一か所に集めた試飲・直売所です。
特定の造り手のお店ではなく、この地域の生産者が持ち寄ったワインが並ぶ、ラヴォーのショールームのような場所です。
うれしいのは、昼間から開いていて、予約なしで入れること(団体は要予約)。
エペスの村にはヴィノテーク「Les 11 Terres」のようなワインバーもありますが、午前から通しで開いていて、ラヴォー全域のワインがそろう場所は、私たちが調べた範囲ではここだけでした。
場所はリヴァ村のレマン湖沿い。

私たちが泊まったオーベルジュから歩いて10分かからず、ぶどう畑への登り口のすぐ横にあります。

中に入ると、壁一面がワインの棚です。

公式によるとラヴォー全域から約300本。
シャスラ(この地域を代表する白ぶどう)を中心に、赤も、甘口もあります。
1本ずつに店内で飲む価格と持ち帰り価格のカードが添えてあって、図書館の書架みたいに眺めて回れました。

補足しておくと、300本すべてをグラスで試せるわけではありません。
グラスで飲めるのは、そのときのテイスティングメニューに載っている分だけ。
私たちのときは白8種・赤8種の単品と、セットのコースが4種類でした。メニューには「Juin 2026」とあったので、月ごとに入れ替わるようです。

ラヴォーの代表的なワイン
ラヴォーでは30ほどの品種が育てられていますが、畑の4分の3はシャスラです。
シャスラは、香りや味わいが強く主張しない白ぶどう。ラヴォーUNESCOの公式サイトでも「控えめ」「穏やか」「均衡」といった言葉で説明されています。
そのぶん、畑や造り手の違いがグラスに出やすいとも言われます。
赤は少数派で、ピノ・ノワールやガメイ、それにこの土地のプラン・ロベールなど。
- Lavaux AOC(798ha)……ラヴォー全体の呼び名
- その中の6つの生産地……Lutry(76ha)/Villette(137ha)/Épesses(171ha)/Saint-Saphorin(143ha)/Chardonne(103ha)/Vevey-Montreux(98ha)
- 2つのグランクリュ……Dézaley Grand Cru AOC(54ha)/Calamin Grand Cru AOC(16ha)
ヴィノラマの棚は、この区画名ごとにプレートが立っています。
名前を先に知っておくと、探しやすくなりました。
デザレーとカラマンには「グランクリュ」と付いています。
どちらも、ラヴォーの斜面にある畑の名前です。
範囲がきっちり決められていて、その中で採れたぶどうのワインだけが、この名前を名乗れます。
ブルゴーニュの畑の格付けと同じ感覚です。
なお、ヴォー州の「グランクリュ」は、この2つの畑だけではありません。
州のルールでは、ラベルに名前を出す畑や村で採れたぶどうが9割以上、糖度は州の最低基準より高く、他の産地と混ぜない、収穫年を必ず表示する。
この条件を満たせば、サン・サフォランなど他の村のワインもグランクリュと名乗れます。
飲み比べた中身
シャスラのグランクリュ3杯を横に並べる
私たちはセットではなく、単品を5杯頼みました。
グラスは0.5dlと1dlから選べて、私たちは小さいほう(0.5dl)。1杯CHF3.40〜4.90です。
白はぜんぶシャスラ。
3杯ともグランクリュという並べ方をしてみました。
今回の3杯は、カラマンが1つとデザレーが2つ。デザレーの2つは、同じ畑で造り手が違います。
| ワイン | 造り手 | 1杯0.5dl(当時) |
|---|---|---|
| カラマン・グランクリュ | Jean Duboux(リエ) | CHF3.80 |
| デザレー・グランクリュ「La Dézaleyre」 | Famille Butticaz(トレトラン) | CHF3.60 |
| デザレー・グランクリュ「Grotte des Moines」 | Stéphane Porchet(エペス) | CHF4.20 |

同じ品種で、同じラヴォーで、こんなに違うのかと思うくらい、3杯ぜんぶ味が違いました。
グラスの足元には銘柄を手書きした小さな札が付いていて、どれを飲んでいるか迷子になりません。
赤はデザレーのグランクリュとプラン・ロベール

赤の2杯は、デザレー・グランクリュ(Antoine Bovard・ピノ・ノワールやシラーなどのブレンド)と、ルトリーの造り手のプラン・ロベールにしました。
デザレーは、前日にラヴォー・エクスプレスで横を走り抜けた、あの急斜面の畑です。
景色で見た区画の名前をグラスで追いかけるのは、この土地ならではの楽しみ方だと思います。
プラン・ロベールは、ラヴォーに残る唯一の土着品種といわれる赤ぶどうです。
ガメイの仲間で、1960年代に畑ごと消えかけたところを、キュリーの育苗家が枝を採って残したという歴史があります。今も栽培はごくわずか。
胡椒のようなスパイス感が特徴で、ラヴォーに来ないと出会いにくい1杯です。
チーズはグリュイエールの若いのと熟成を食べ比べ
ワインと一緒に、チーズの盛り合わせ(CHF15)も頼みました。
グリュイエールAOPの若いものと熟成したものが両方のって、ドライアプリコットとナッツ添え。

パンも付いてきます。
思いの外、量が多くて驚きました。
ワインが5杯、チーズとパン。
食事のメニューは他にも、ビーフやサーモンのタルタルや、サラミなどもありました。
軽くテイスティングのつもりが、この日のお昼はここでほぼ完結してしまいました。
滞在は2時間ほど。

テイスティングというより、ゆっくりワインバーで過ごした感覚でした。単品5杯とチーズで、会計は2人でCHF35。スイスの外食としてはかなり穏やかな金額だと思います。
お酒を飲まない人向けには、地元のぶどうジュース(CHF6.90)やコーヒーもありました。
館内には小さな上映室もあります。

ぶどう栽培の一年を追う映画「Une Année Vigneronne」が上映されていて、日本語音声でも見られると案内が出ていました。
スクリーンには次の回までのカウントダウンが表示されています。
気に入った1本は持ち帰り価格で買える
飲んで気に入ったら、棚から同じワインを買って帰れます。
持ち帰り価格は店内価格よりだいぶ安く、たとえばリヴァのピノ・ノワール「Les Sœurettes」は持ち帰りCHF21.30(店内はCHF38.80)でした。
ワインの値段は、日本の個人ワイナリーとそう変わらない感覚です。
私たちが買ったのは、シャトー・デ・グレロール(Château de Glérolles)の赤。
前の晩、宿のディナーで夫が飲んで気に入った1本です。

私が飲んだ、ピノ・ノワールともここで再会しました。

日本で買えないワインなので、ラヴォーまで来たなら、ここで1本選んで帰るのは良いお土産になると思います。
営業時間と行き方(2026年7月時点)
- 住所:Route du Lac 2, 1071 Rivaz(レマン湖沿い。リヴァ駅から徒歩すぐ)
- 営業:月〜土 10:30〜20:00/日 10:30〜19:00(5〜10月は毎日営業。2〜4月は月・火が休み)
- テイスティングは閉店1時間前まで。フードの提供は閉店30分前まで
- 個人は予約不要。団体は要予約
- 料金・営業時間は変わることがあります。行く前に公式サイトでご確認ください
私たちは宿をチェックアウトして荷物を預け、午前のうちにここで飲み比べをして、そのまま建物の横の階段からぶどう畑のハイキングに出発しました。
ヴィノラマはちょうどハイキングコースの起点・終点にあります。

飲んだワインの区画名を覚えてから畑を歩くと、目の前の斜面が「さっきのデザレーだ」とつながって、それも楽しかったです。
まとめ
ヴィノラマは、ラヴォー全域から集まった約300本の中から、その月のメニューを昼から予約なしで飲み比べられる場所です。
私たちはシャスラのグランクリュを横に並べて、赤とチーズも少しずつ。
気に入った1本は、棚の持ち帰り価格で買って帰りました。
日本ではまず見かけないワインなので、お土産にもなります。
ワインに詳しくなくても、図書館の書架みたいに棚を眺めて、気になった1杯から頼めます。
ぶどう畑を歩く前後に立ち寄る一杯にも、ちょうどいい場所でした。
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