スイスの山の乗り物は種類が多い。登山鉄道・ケーブルカー・ロープウェー・ゴンドラの違いを整理しました
スイスの山には、一般列車のほかに登山鉄道・ケーブルカー・ロープウェー・ゴンドラ…と、いろいろな乗り物があります。
名前が似ていて、日本語と現地の呼び方がズレていることも多いです。
時刻表や路線図を見て「これは何に乗るんだろう」と迷った方も多いと思います。
ここでは種類ごとに、どんな乗り物で、代表的な路線はどこかを整理します。
スイスの山の乗り物は、大きく2系統
スイスの乗り物は、まず次の2つに分けられます。
ひとつは鉄道系。レールの上を走るグループで、普通列車・登山鉄道・ケーブルカー・パノラマ列車が入ります。
もうひとつは索道系。空中に張ったケーブルで渡るグループで、ロープウェー・ゴンドラ・チェアリフトが入ります。

日本語でいう「ケーブルカー」は、じつはレールの上を走る鉄道系です。空中を渡るのは「ロープウェー」や「ゴンドラ」のほう。
鉄道系:レールの上を走る乗り物

普通列車(IC・IR・RE・Sバーン)
街と街を結ぶ、いちばんの基本ネットワークです。
IC(都市間特急)やIR、RE、近郊のSバーンなど種類はありますが、どれも同じ鉄道網の一部。
運賃はトラベルパスなら乗り放題、ハーフフェアカードなら半額です。
山へ向かうときも、まずはこの普通列車でふもとの町まで移動することが多いです。
登山鉄道(ラック式)
線路の中央にある歯型のレール(ラック)に、車両の歯車をかみ合わせて急坂を自力で登っていく登山電車です。
ふつうの列車では登れない急な斜面を、ゆっくり確実に上がっていきます。
代表例は、ゴルナーグラート鉄道やユングフラウ鉄道。
ピラトゥス鉄道は最急勾配48%で、世界でいちばん急なラック式鉄道です(1889年開業以来この記録を保っています)。
ブリエンツ・ロートホルンのように、いまも蒸気で走る路線もあります。
ケーブルカー(フニクラー)

これもレールの上を走りますが、車両じたいに動力はありません。
2両がケーブルの両端につながれ、片方が上がると片方が下りる「つるべ式」で斜面を昇り降りします。
車内の床が階段状になっているのが独特です。
ツェルマットのスネガ(Sunnegga Express)やインターラーケンのハルダー・クルム、ミューレンのアルメントフーベルなどがこのタイプ。
シュヴィーツのシュトースは最急110%(約47.7度)で、世界一急なフニクラーとして知られています。
パノラマ列車
大きな窓から車窓を楽しめる、景観重視の列車です。
氷河特急(グレイシャー・エクスプレス)、ベルニナ急行、ゴールデンパスなどが有名です。
仕組みそのものは、普通列車と同じレールの上を走ります。
ちがうのは車両で、側面の窓が天井まで回り込んだ大きなパノラマ窓(氷河特急は天窓もあり)になっていて、座ったまま山の頂上まで見えるのが特徴です。
つまり「乗り物のタイプ」というより、走り方は同じ鉄道の“特別車両+座席予約つきのサービス”という区分です。
ルツェルンからインターラーケンへ向かう「ルツェルン–インターラーケン・エクスプレス」も、この仲間です。
区間ごとにどちら側の席が景色がよかったかは別記事にまとめています。
パノラマ列車は「別料金の特別な列車」ではなく、あくまで路線(列車)の呼び名です。運賃はトラベルパスなら無料、ハーフフェアなら半額。ただし座席予約料だけは別にかかります(as-of 2026年)。氷河特急とベルニナ急行は予約が必須、ゴールデンパス・エクスプレスは任意ですが繁忙期は入れておくと安心です。予約料は路線・季節で変わるので、最新は各路線の公式で確認してください。
索道系:空中をケーブルで渡る乗り物

ロープウェー(往復・つるべ式)
大きな箱(キャビン)を空中のケーブルで吊り、2台が交互に往復するタイプです。
一度に数十人が乗れる大型が多く、その分だけ発車時刻が決まっていて、混む時間は待ちが出やすいです。
シルトホルンやマッターホルン・グレイシャーパラダイスがこのタイプ。
ティトリスの「Rotair」は世界初の回転するロープウェー、シュタンザーホルンの「CabriO」は世界初の屋根なし2階建てと、名物も多い仲間です。
ゴンドラ(循環式)
小型のキャビンが、ぐるぐる回るケーブルにたくさんぶら下がって止まらずに循環するタイプです。
次々に来るので、ほとんど待たずに乗れるのが利点です。
グリンデルワルトのフィルスト線やメンリッヒェン線がこのタイプ。
グリンデルワルトからアイガーグレッチャーへ上がるアイガー・エクスプレスは、3本のケーブルを使う「3線式(トライケーブル)」で、大型なうえに強風にも強いのが特徴です。
チェアリフト
屋根のない、椅子だけのリフトです。
ハイキングで区間だけ楽に上がりたいときなどに活躍します。
番外:湖の船とポストバス
ここまでの「山の乗り物」とは別枠ですが、旅の移動でよく使うのが湖の遊覧船とポストバスです。
船
スイスの湖には観光遊覧船が走っています。
ルツェルン湖やレマン湖などが有名で、私たちもルツェルン湖のクルーズや、ジュネーブからイヴォワールへ渡る船に乗りました。
ポストバス
ポストバスは、スイス郵便が運行する黄色い路線バスです。
鉄道が届かない山あいの村や峠を結ぶ足で、カーブで鳴らす3音のホルンが名物。
どちらも運賃はトラベルパスなら乗り放題、ハーフフェアなら半額で、鉄道と同じ感覚で使えます。
ひと目でわかる、種類の総覧表
| 種類 | どんな乗り物 | 代表例 |
|---|---|---|
| 一般列車(鉄道) | SBB等の普通の列車(IC/IR/RE/Sバーン)。これが基本ネットワーク | 都市間ぜんぶ。トラベルパス乗り放題/ハーフフェア半額 |
| 登山鉄道(ラック式) | 歯車レールで急坂を登る登山電車 | ゴルナーグラート、ユングフラウ鉄道、ピラトゥス(世界最急48%)、シーニゲ・プラッテ、リギ、ブリエンツ・ロートホルン(蒸気) |
| ケーブルカー(フニクラー/鋼索鉄道) | 2両がワイヤーで吊り合いレールを昇降。日本語の「ケーブルカー」はこれ | ハルダー・クルム、シュトース(世界最急110%)、スネガ(Sunnegga Express)、シュタンザーホルン下部 |
| パノラマ列車 | 大窓の景観列車(”パス”ではなく路線名)。運賃はトラベルパス無料/ハーフフェア半額だが座席予約料は別 | 氷河特急、ベルニナ急行、ゴッタルド・パノラマ・エクスプレス、ゴールデンパス・エクスプレス、ルツェルン–インターラーケン・エクスプレス |
| ロープウェー(空中ケーブルカー) | 空中ワイヤーに大型キャビンを吊る往復式 | シルトホルン、マッターホルングレイシャーパラダイス、ティトリス(回転Rotair)、シュタンザーホルンCabriO(屋根なし)、グレイシャー3000 |
| ゴンドラ(循環式) | 小型キャビンがロープを循環 | グリンデルワルト–メンリッヒェン、フィルスト、アイガー・エクスプレス(3線式) |
| チェアリフト | 開放椅子のリフト | フロンアルプシュトック(シュトース)など。多くはスキー場の冬用 |
| 船 | 湖の遊覧船 | ルツェルン湖、レマン湖 |
| ポストバス | 郵便バス | グリンデルワルド、ラウターブルンネン内 |
私たちが実際に乗ってみた(種類ごとの感想)
私たちが2026年6月に実際に乗ったのは、種類ごとに分けるとこんな感じでした。
| 種類 | 実際に乗った路線 |
|---|---|
| 登山鉄道 | ゴルナーグラート、WAB(クライネシャイデック→グリンデルワルト) |
| ロープウェー | シルトホルン |
| ゴンドラ | グリンデルワルト–メンリッヒェン、フィルスト、シュテッヘルベルク–ミューレン |
| ケーブルカー(フニクラー) | スネガ、アルメントフーベル |
| パノラマ列車 | ルツェルン–インターラーケン・エクスプレス |
| 一般列車 | チューリッヒ〜ルツェルン〜インターラーケン〜ツェルマット〜ラヴォー〜ジュネーブ |
| 船(CGN) | ルツェルン〜ヴェッギス、ジュネーブ〜イヴォワール〜ニヨン |
| 郵便バス | グリンデルワルド内、ラウターブルンネン〜シュテッヘルベルク |
感想は、こんなところです。
- ロープウェーとゴンドラ:正直、乗っている感覚の違いはあまり分かりませんでした。ただ、景色はどちらも、どの路線も良かったです。冬はスキーで利用されることもあり、内部は広々としていて、キャリーバッグを持ち込んでも大丈夫な広さです。
- 登山鉄道:こちらも、乗ったものはどれも良かったです。山を登っていく臨場感があって、私たちはいちばん印象に残りました。
- ケーブルカー(フニクラー):急な斜面を短時間で一気に登るときに、重力を感じました。車内が階段状になっているのが独特です。
- パノラマ列車(ルツェルン–インターラーケン・エクスプレス):景色のいい人気路線で、綺麗な景色が見えました。臨場感はない。
- 一般列車:一般列車も窓が大きい。ラヴォー周へんのレマン湖とブドウ畑の景色が心に残っています。2等でも広々快適。
- 船:ルツェルン湖から眺める街並みやリギ山などの景色がとても綺麗でした。快適。
- バス:バスの独特なにおいがあまりしない。揺れもそこまで気にならない。
どの乗り物が、どのパスで割引になる?
乗り物の種類によって、パスの割引の効き方も変わります。
パスごとの割引率や、山ごとの往復料金は、スイスの交通パス・鉄道の種類・割引率まとめにまとめています。
そもそもトラベルパスとハーフフェアのどちらが向いているかは、ハーフフェアとトラベルパスの比較で整理しています。
実際の乗り継ぎや切符の買い方はスイスの電車の乗り方もどうぞ。
まとめ
スイスの山の乗り物は種類が多く見えますが、大きく分けると2つ。
レールの上を走る「鉄道系」か、空中をケーブルで渡る「索道系」か。
そして実際に乗ってみると、鉄道系は「区間によっては絶景」、索道系は「どこも眺めが良かった」というのが正直な感想でした。
名前で身構えず、気軽に乗ってみてください。
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