ユングフラウ地方には、拠点になる村がいくつもあります。
大きくて便利なグリンデルワルト、谷底のラウターブルンネン。
その中で私たちが一泊に選んだのは、車が入れない崖の上の村ミューレンでした。
決め手は、村そのものが「行ってみたい場所」に見えたことです。
この記事では、2026年6月16日にラウターブルンネンから入った行き方と、車のない村で過ごした夕方から朝までを、そのまま旅行記として残しておきます。
なぜ「ミューレン泊」にしたのか
拠点選びは、正直かなり迷いました。
ユングフラウ地方はアクティビティが多くて、どこを拠点にするかで動き方が変わります。
前日まではグリンデルワルトにいて、次にラウターブルンネンに泊まるか、ミューレンまで上がるかで悩んでいました。
ラウターブルンネンの見どころは、谷に落ちる大きな滝が中心です。
いっぽうミューレンは、車が入れない小さな村というだけで、泊まること自体がちょっとした体験になりそうでした。
さらに、ミューレンに向かう道中に、ラウターブルンネンの滝も見られました。
翌朝には、季節的にいちばん咲いていそうだった花の谷(アルメントフーベル)にも行きたかったので、ミューレン泊に決めました。

ミューレンを拠点にしたことで、当初予定になかったシルトホルンまで、さくっと行けたのも良かったです。
行き方(2026年6月時点)
ミューレンへ上がるルートは、大きく二つあります。ラウターブルンネンから①ケーブルカー+登山鉄道(BLM)で入る道と、②バスでシュテッヘルベルクへ回りロープウェイで上がる道です。
二つのルートが両方動いている時期なら、行きと帰りで別ルートにすると、それぞれ景色が違って楽しめると思います。出発前に sbb.ch と schilthorn.ch で当日の運行を確認してください。
所要と定価で並べると、次のとおりです(片道・大人・2等)。
| ルート | 経路 | 所要 | 定価(片道) |
|---|---|---|---|
| ①グリュッチュアルプ経由 | ケーブルカー+登山鉄道(BLM) | 約21分 | CHF11.80 |
| ②シュテッヘルベルク経由 | ポストバス141+ロープウェイ | 約22分 | CHF16.40 |
この日は①のケーブルカーが改修運休(2026年4月13日〜7月10日)だったので、私たちは②のシュテッヘルベルク経由で入りました。
ちなみに、この日の起点だったグリンデルワルトからラウターブルンネンまでは、列車で約40〜50分・定価CHF9.40でした。
パスでどのルートがカバーされる?
ミューレンまでの区間は、持っているパスによって「無料・半額・対象外」が分かれます。
使う予定のパスと、通れるルートを先に確かめておくと安心です。
同じ②ルートでも、バスとロープウェイでパスの扱いが変わることがあるので、区間ごとに分けました。
| パス | ①グリュッチュアルプ経由 ケーブルカー+登山鉄道 | ②バス141 ラウターブルンネン→シュテッヘルベルク | ②ロープウェイ シュテッヘルベルク→ミューレン |
|---|---|---|---|
| スイストラベルパス | 無料 | 無料 | 無料 |
| ハーフフェアカード | 半額 | 半額 | 半額 |
| ベルナーオーバーラント・パス | 無料 | 無料 | 無料 |
| ユングフラウ・トラベルパス | 無料 | 対象外 | 対象外 |
| セーバーデイパス | 無料 | 無料 | 対象外※ |
どのパスが自分に合うかは、スイスの交通パスは、どれくらい割引になる?とハーフフェアとトラベルパスの比較にまとめています。
チケットの買い方|列車・バス・ロープウェイ
①グリュッチュアルプ経由なら、ラウターブルンネン→ミューレンが通しきっぷ1枚(ケーブルカー+登山鉄道)。SBBアプリ(行き先を「Mürren BLM」で検索)か、駅・ケーブルカー乗り場の券売機で買えます。
②シュテッヘルベルク経由は、区間ごとに買います。
列車、ロープウェイは、SBBアプリか、駅の券売機で。
ポストバスは、SBBアプリか、乗るときに運転手さんから、または車両中ほどの券売機で買えます。
運転手さんから買うときは、ハーフフェアは自己申告します。
私は申告するのを忘れて、定価で買ってしまいました。
SBBアプリで購入する場合、ハーフフェアを登録しておけば、自動で半額の運賃が表示されます。
アプリでの手順はSBBアプリでの切符の買い方にまとめています。
SBBアプリで買うときは、駅名の表記に気をつけてください。ミューレンの駅は①グリュッチュアルプ経由と②シュテッヘルベルク経由で別々に登録されています。今回使った②の駅は「Mürren (Schilthornbahn)」、①の登山鉄道側は「Mürren BLM」です(②谷側の乗り場は「Stechelberg, Schilthornbahn」)。名前を取り違えると経路が出てこないこともあるので、行き先をよく確かめてから購入を。
列車|グリンデルワルト→ラウターブルンネン
列車の改札はなく、階段の上り下りもほとんどありません。
ツヴァイリュッチネンで一度乗り換えますが、ホームを少し移動して待つくらいの感覚です。
案内表示も分かりやすく、Googleマップと現地のサインを見ていれば迷いませんでした。
途中のラウターブルンネンと、シュタウプバッハの滝

ミューレンへ上がる前に、ラウターブルンネンに少し立ち寄りました。
駅は思っていた以上にきれいで、しっかりした造りでした。
村は賑わっていて、車も通ります。幻想的というより、素朴でかわいらしい谷の村でした。
目当ての滝は、村の目の前に落ちるシュタウプバッハの滝。落差はおよそ297mで、スイス政府観光局が「ヨーロッパ有数の自由落下の滝」と紹介しています。
滝は駅からも見えていて、私たちは駅から15分ほど歩いて、近くまで見に行きました。
近づくと思ったより高くて、落ちる途中で水が霧になって散っていくのがきれいでした。
本当はもっと滝の近くまで行けるのですが、バス停から離れてしまうので、そこで引き返しました。
教会の前のバス停から乗ると、滝と教会と川がひとつの画に収まって、写真もよく撮れました。

ポストバス|ラウターブルンネン→シュテッヘルベルク

ラウターブルンネンからは、黄色いポストバス(141系統)でシュテッヘルベルクへ向かいます。
ラウターブルンネン駅からも乗れますが、シュタウプバッハの滝を見に行ったので、教会の前のバス停(Ey)から乗車。
道はほぼ平坦で、20分足らずの快適な区間でした。
チケットは運転手さんから直接購入しましたが、「ハーフフェア」と伝え忘れて、正規料金で払ってしまいました。
次に乗るなら、SBBアプリで事前に買うか、車内の券売機を使うか、乗るときに「ハーフフェア」と一言そえるのがよさそうです。

ロープウェイで崖の上へ
シュテッヘルベルクからのロープウェイは、急な崖を一気に駆け上がっていくのが面白かったです。
この直行のロープウェイは2024年12月にできたばかりで、運営元によると勾配159.4%の世界一急な空中ケーブルカーだそうです。
谷底からミューレンまでをわずか4分ほどで結び、窓の外では村がみるみる小さくなっていきました。

車内は広く、キャリーバッグを持って立っていても、電車と変わらない感覚で乗れました。
混んではいましたが、次の便を待つほどではありません。
車で来た人もバスで来た人も入りまじって、みんな上を目指していました。
崖の上の村に着く
ロープウェイを降りて村に踏み出すと、見たことのない景色が広がっていました。
ラウターブルンネンが崖を「見上げる」村だとしたら、ミューレンは目の前に崖があって、そのさらに奥に、もっと大きな岩の壁がそびえている。
谷をはさんだ正面には、アイガー・メンヒ・ユングフラウの三山(この日は雲で見え隠れ)。

標高1,638mの村です。
道はきれいに舗装されていて歩きやすく、昔ながらの村という雰囲気ではありません。
それでも、こじんまりとしてかわいらしい空気がありました。
車はありませんが、村の作業用の小さな電動カートは走っています。
車のない村を歩く
宿はホテルアルピナ。
上がってきたロープウェイの駅とは反対側、もう一方のルートの駅の近くにあり、メインストリートをまっすぐ10分弱歩くと着きました(宿の詳しい話は、ホテル・アルピナの宿泊記に書いています)。
メインストリートには、住民も使うしっかりしたCoop(スーパー)があります。
このCoopで何を買って、どう食べていたかは、スイスのスーパーご飯で1週間過ごした記録にまとめています。
公式では毎日08:00〜18:30の営業で(2026年7月時点・臨時変更がありうるので最新は公式で確認を)、街なかの大型店より少し早く閉まります。
ほかにカフェ、お土産屋、そしてパラグライダーのツアーを扱うお店もありました。

村のなかほどには、崖がよく見える場所があって、みんな足を止めて写真を撮っていました。
私も同じように一枚。

目の前の断崖の迫力に、村に着いてからも何度も見上げてしまいました。
村には、サウナのあるスポーツセンターもありました。

泊まったホテルのサービスで無料で行けると言われたのですが、水着がなくて断念。

このあと訪ねたレマン湖周辺でも、水着あったら良かったな〜と思いました。
村を起点にした観光
ミューレンは村そのものが目的地になりますが、ここを起点にした山の遊びも豊富です。
私たちが実際に足を運んだもの、気になったものを3つ、体験記へのリンクとあわせてまとめておきます。
シルトホルン|映画『007』の回転展望台

もともと予定にはなかったのに、村から近くて夕方にさくっと上がれたのがシルトホルンでした。
崖にせり出したスリルウォークや、回転展望レストランからの眺めが名物です。
実際に上がった話は、シルトホルンのスリルウォーク体験記にまとめています。
アルメントフーベル|花の谷トレイル

翌朝に上がったのが、村の上のアルメントフーベル。
ケーブルカーで数分の丘で、初夏は高山植物が咲く花トレイルが歩けます。
歩いた記録はアルメントフーベルの花トレイルに書いています。
パラグライダー
ミューレンからは、パラグライダーを楽しむ人がとても多かったです。
じつは翌朝、花の谷(アルメントフーベル)ハイキングのほかに、パラグライダーをする案もありました。
今回は、ちょうど花が満開になりそうな時期だったので、花の谷を選びました。
ただ、ミューレンからの景色は本当に美しく、現地で飛んでいる人たちを見て、やっぱりパラグライダーにしても良かったと強く思いました。
体験は1〜2時間、丸一日拘束されるわけでもなく、ガイドさんが後ろについてくれる形なので、次に来たら今度こそ飛んでみたいと思っています。
\ 所要は1〜2時間ほどです /
タンデム飛行・料金はプランで変わります
泊まったからこそ出会えた、静かな朝
日中の村は、想像よりずっと観光客が多い場所でした。
村の規模に対して人が多い。
それでも、京都の混雑ほどではありません。
雰囲気が変わったのは、日帰りの人たちが下りていった夕方から朝でした。
人のいない村は本当に静かで、空気まで気持ちよかったです。
「泊まってよかった」といちばん感じたのは、朝の静けさでした。日中の賑わいとはまるで別の顔で、村の良さがそこに出ていた気がします。
ロッカー・荷物預かり・服装
キャリーバッグでの移動だったので、荷物の置き場は気になりました。
ラウターブルンネン駅には、コインロッカー(小12・大9=計21個ほど、1回CHF8)と、有人の手荷物預かりカウンター(1個CHF8・07:20〜17:00)があります。
ロッカー(大)は、私たちが着いた時間は満杯でした。

ミューレン側は、駅に少数のロッカーがあるほか、山岳鉄道のスタッフが大きな荷物を預かってくれる場合もあります(Mürren Tourism公式)。
私たちは宿に着いてから荷物を預けて動きました。数や料金は変わることがあるので、最新は公式でご確認ください(2026年時点)。
この日の服装は、Tシャツに薄手のUVカットパーカー。
カバンには軽量ダウンと防風アウターを入れていました。
谷のラウターブルンネンは25度ほどでTシャツで歩ける陽気、ミューレンは少し涼しい程度で、薄手を一枚はおればちょうどよかったです。
トイレは、駅に無料のものがあります。
まとめ
ミューレンは、行き方こそ少し手間がかかりますが、その手間の先に崖の上の美しい村が待っている場所でした。
ユングフラウ地方をグリンデルワルトやラウターブルンネンだけで終えるのは、少しもったいないかもしれません。
車の入れない村で一泊すると、日中の賑わいと、静かな朝の両方に出会えます。
次に来たら、崖沿いのカフェでゆっくり食事をして、今度こそパラグライダーで飛んでみたい。
そんな「また来たい村」のひとつになりました。
同じ日の午前に歩いたメンリッヒェンからクライネ・シャイデックのパノラマトレイルや、翌朝に上がったアルメントフーベルの花トレイルも、あわせてどうぞ。
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