ラヴォーのぶどう畑を歩いた日、いちばん時間を使ったのは、実はハイキングではなくワインでした。

リヴァ村のラヴォー・ヴィノラマ(Lavaux Vinorama)。ラヴォー中のワインが集まる試飲・直売所で、シャスラのグランクリュを1杯ずつ並べて飲み比べて、チーズをつまんで、気づけば2時間。

スイスのワインは生産量のほとんどが国内で消費されると言われていて、日本ではまず見かけません。その「現地でしか飲めないワイン」を、私たちはここでまとめて味わいました。

石垣の壁に掲げられたラヴォー・ヴィノラマのロゴ看板。蔦が絡む

村のカーヴは、夕方17時にならないと開かない

はじめはヴィノラマではなく、生産者のカーヴ(試飲と直売のセラー)を訪ねるつもりでした。ぶどう畑を歩いていると、カーヴの看板はあちこちにあります。

ただ、開いている気配がありません。

あとで調べて納得しました。村の共同カーヴの営業は、たとえばこうなっています(コミューン公式・2026年7月時点)。

カーヴ営業期間営業時間
キュリー5〜10月木〜日 17:00〜21:00
エペス4〜10月木〜日 17:00〜21:00
グランヴォー(Corto)4〜10月金 17:00〜21:00/土日 16:00〜21:00

つまり開くのは夕方17時から、週の後半だけ。生産者が個人でやっているカーヴはさらにまちまちで、事前連絡が前提のところも多いようでした。

私たちの滞在は木曜の夕方から金曜の夕方まで。木曜の夕方はラヴォー・エクスプレスに乗っていて、金曜は、カーヴが開くころには次の街へ発つ予定でした。

調べているうちに、ヴィノラマなら昼間からテイスティングができると分かりました。それで今回は、カーヴではなくヴィノラマに行くと決めました。

さちこ
さちこ

じっくりカーヴを回るなら、夕方をラヴォーで過ごせる日程が良さそうです。私たちは1泊でエクスプレスとハイキングを優先したぶん、カーヴは次回の楽しみに残しました。

ヴィノラマは、ラヴォーのワイン約300本が集まる場所

その点ヴィノラマは、昼間から開いていて、予約なしで入れます(団体は要予約)。

エペスの村にはヴィノテーク「Les 11 Terres」のようなワインバーもありますが、午前から通しで開いていて、ラヴォー全域のワインがそろう場所は、私たちが調べた範囲ではここだけでした。

場所はリヴァ村のレマン湖沿い。私たちが泊まったオーベルジュから歩いて10分かからず、ぶどう畑への登り口のすぐ横にあります。

リヴァ付近のレマン湖沿いの道。右手にぶどう畑のテラス、左に湖と線路

中に入ると、壁一面がワインの棚です。公式によるとラヴォー全域から約300本。シャスラ(この地域を代表する白ぶどう)を中心に、赤も、甘口もあります。1本ずつに店内で飲む価格と持ち帰り価格のカードが添えてあって、図書館の書架みたいに眺めて回れました。

ラヴォー・ヴィノラマの店内。壁一面のワイン棚と区画名のプレート、テーブル席
棚に並ぶサン・サフォランの白ワイン(シャスラ)のボトルと価格カード

補足しておくと、300本すべてをグラスで試せるわけではありません。グラスで飲めるのは、そのときのメニューに載っている分だけ。私たちのときは白8種・赤8種の単品と、セットのコースが4種類でした。メニューには「Juin 2026」とあったので、月ごとに入れ替わるようです。

テイスティングバーに並ぶラヴォーのワインボトル。デザレーやサン・サフォランなど

シャスラのグランクリュ3杯を、横に並べる

私たちはセットではなく、単品を5杯頼みました。グラスは0.5dlと1dlから選べて、私たちは小さいほう(0.5dl)。1杯CHF3.40〜4.90です。

白はぜんぶシャスラ。3杯ともグランクリュで、造り手だけが違うという並べ方をしてみました。

ワイン造り手1杯0.5dl(当時)
カラマン・グランクリュJean Duboux(リエ)CHF3.80
デザレー・グランクリュ「La Dézaleyre」Famille Butticaz(トレトラン)CHF3.60
デザレー・グランクリュ「Grotte des Moines」Stéphane Porchet(エペス)CHF4.20
白のグランクリュ3杯の飲み比べ。グラスの足元に銘柄の札

同じ品種で、同じラヴォーで、こんなに違うのかと思うくらい、3杯ぜんぶ味が違いました

グラスの足元には銘柄を手書きした小さな札が付いていて、どれを飲んでいるか迷子になりません。

赤はデザレーのグランクリュと、プラン・ロベール

赤の2杯は、デザレー・グランクリュ(Antoine Bovard・ピノ・ノワールやシラーなどのブレンド)と、ルトリーの造り手のプラン・ロベールにしました。

デザレーは、前日にラヴォー・エクスプレスで横を走り抜けた、あの急斜面の畑です。景色で見た区画の名前をグラスで追いかけるのは、この土地ならではの楽しみ方だと思います。

プラン・ロベールは、ラヴォーに残る唯一の土着品種といわれる赤ぶどうです。ガメイの仲間で、1960年代に畑ごと消えかけたところを、キュリーの育苗家が枝を採って残したという歴史があります。今も栽培はごくわずか。胡椒のようなスパイス感が特徴で、ラヴォーに来ないと出会いにくい1杯です。

赤ワインの飲み比べ。デザレー・グランクリュとプラン・ロベール

チーズは「若いグリュイエール」と「熟成グリュイエール」の食べ比べ

ワインと一緒に、チーズの盛り合わせ(CHF15)も頼みました。グリュイエールAOPの若いものと熟成したものが両方のって、ドライアプリコットとナッツ添え。パンも付いてきます。

思いの外、量が多くて驚きました。

若いグリュイエールと熟成グリュイエールの盛り合わせ。ドライアプリコットとナッツ添え

ワインが5杯、チーズとパン。軽くテイスティングのつもりが、この日のお昼はここでほぼ完結してしまいました。滞在は2時間ほど。

さちこ
さちこ

テイスティングというより、ゆっくりワインバーで過ごした感覚でした。単品5杯とチーズで、会計は2人でCHF35。スイスの外食としてはかなり穏やかな金額だと思います。

お酒を飲まない人向けには、地元のぶどうジュース(CHF6.90)やコーヒーもありました。

館内には小さな上映室もあります。ぶどう栽培の一年を追う映画「Une Année Vigneronne」が上映されていて、日本語音声でも見られると案内が出ていました。スクリーンには次の回までのカウントダウンが表示されています。

ヴィノラマの上映室。映画は日本語を含む8言語対応

気に入った1本は、持ち帰り価格で買える

飲んで気に入ったら、棚から同じワインを買って帰れます。持ち帰り価格は店内価格よりだいぶ安く、たとえばリヴァのピノ・ノワール「Les Sœurettes」は持ち帰りCHF21.30(店内はCHF38.80)でした。

ワインの値段は、日本の個人ワイナリーとそう変わらない感覚です。

私たちが買ったのは、シャトー・デ・グレロール(Château de Glérolles)の赤。前の晩、宿のディナーで夫が飲んで気に入った1本です。それが翌日、ヴィノラマの棚にちゃんと並んでいました。「昨日のあれだ」と棚で見つけて連れて帰れるのは、ラヴォー中のワインが集まるこの場所ならではだと思います。

棚のボトルと価格カード。店内価格と持ち帰り価格が併記

日本で買えないワインなので、ラヴォーまで来たなら、ここで1本選んで帰るのは良いお土産になると思います。

営業時間と行き方(2026年7月時点)

ラヴォー・ヴィノラマ(公式サイトより・2026年7月確認)

  • 住所:Route du Lac 2, 1071 Rivaz(レマン湖沿い。リヴァ駅から徒歩すぐ)
  • 営業:月〜土 10:30〜20:00/日 10:30〜19:00(5〜10月は毎日営業。2〜4月は月・火が休み)
  • テイスティングは閉店1時間前まで。フードの提供は閉店30分前まで
  • 個人は予約不要。団体は要予約
  • 料金・営業時間は変わることがあります。行く前に公式サイトでご確認ください

私たちは宿をチェックアウトして荷物を預け、午前のうちにここで飲み比べをして、そのまま建物の横の階段からぶどう畑のハイキングに出発しました。ヴィノラマはちょうどハイキングコースの起点にあります。

カーヴの営業時間に合わなかった私たちでも、ラヴォーのワインをちゃんと飲み比べて、好みの1本を選んで帰れました。まずヴィノラマで自分の好みを見つけて、次の旅でその造り手のカーヴを予約して訪ねる。そんな順番も良さそうです。

ABOUT ME
さちこ
こんにちは、さちこです。 北海道出身のアラサー主婦。2025年12月より、夫の海外赴任に帯同してオランダで暮らしています。 このブログ「運河のある暮らし」では、オランダを拠点に夫と巡ったヨーロッパ各国の旅行記を中心に、在住者ならではのオランダ観光・暮らしの情報も、実体験をもとにまとめています。 旅の計画や現地での移動・手続きなど、これから旅する方・暮らす方の参考になれば嬉しいです。 どうぞ、よろしくお願いします!

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