オランダの住宅街を夜に歩くと、通りに面した大きな窓から、照明に照らされたダイニングやソファ、テレビの画面まで見えます。
カーテンもブラインドも、閉めていない家がほとんどです。
夜はカーテンを閉めるのが当たり前だった私には、最初の数週間、自分の家の窓がかなり落ち着きませんでした。
この記事では、カーテンをしない理由として語られていること、防犯の考え方、住んでみてどう感じたか、窓辺のディスプレイをまとめました。
通りから丸見えの窓

オランダの家は、通りに面した窓が大きく、床から天井近くまでガラスという家も珍しくありません。
夜になると、その窓の向こうに家族の夕食や、ソファで本を読む人の姿がそのまま見えます。
隠すつもりがない、という感じの見え方です。
うちの家もリビングにカーテンがありません。
カーテンをしない理由として語られていること
なぜ閉めないのかを調べると、だいたい次の3つの説明が出てきます。
どれも「そう言われている」の範囲ですが、住んでいると納得できる部分が多いです。
「隠すことがない」を見せる
よく聞くのは、宗教改革以降のプロテスタント(カルヴァン派)の価値観に由来するという説明です。
質素で誠実な暮らしが美徳とされた。
家の中を見せることが「うちはやましいことをしていない」という無言のメッセージになった、という話です。
見えても、見ない
オランダでは「隠すこと」より「オープンであること」が好まれます。
カーテンを閉めっぱなしにしていると、何か隠しているのかと思われることもあるそうです。
一方で、他人の家の中をじっと覗き込むのはマナー違反。
「見えることと、見ることは別」という線引きが、社会の側で共有されています。
光を家に入れる

気候の影響も大きいです。
オランダの冬は日が短く、曇りの日が続きます。
貴重な光をできるだけ家に入れるために、窓を覆わない。
これは説明というより、住んでみると体で分かる理由でした。
冬の日の短さについてオランダの冬の暗さと対策の記事にまとめています。
防犯はどう考えられているのか
開けっぱなしで泥棒に入られないのか、というのが日本の感覚からの素朴な疑問です。
オランダでは、見せること自体が防犯だと考えられています。
- 家の中が見える。普通の人が普通に暮らしていると分かる
- 住宅街では、通行人や近所の目が自然な見守りになる
- 鍵や窓のロックは頑丈。見せるのは中の様子で、入口は固い
- 夜も明かりを落とし切らず、人がいることが外から分かる
日本の「閉めて守る」とは逆向きの発想です。
どちらが正しいという話ではなく、前提が違います。
住んでみてどう感じたか
最初の数週間は、夜になると室内が外から丸見えで、通りすがりの人に見られているような気がしてソワソワしました。
ただ、数週間で慣れました。
今はむしろ、カーテンを閉めた部屋のほうが窮屈に感じます。
窓の外に運河と街路樹が見えるのは気持ちがいいですし、昼間は部屋の奥まで自然光が入ります。
冬の暗さの中では、この光がかなり効きます。
窓辺はディスプレイの場所
カーテンがないぶん、窓辺は外から見られる前提の場所になっています。
住宅街を歩くと、窓際にキャンドルや小さなオブジェ、観葉植物を並べている家がたくさんあります。
通りから見て絵になるように置いてあるので、夜の散歩がそのまま窓辺めぐりになります。
クリスマスの時期は、窓辺の電飾がいちばん華やかになります。
暗い季節に、通りを歩く人のために窓を飾る。その感覚も、カーテンをしない暮らしの延長にあります。
まとめ
オランダでカーテンをしない理由は、3つで説明されることが多いです。
「隠すことがないと見せる」価値観、「見えても見ない」というマナー、冬の光を取り込む気候。
防犯も「見せることで守る」という考え方で、日本の発想とは逆向きです。
住み始めの数週間は落ち着きませんが、慣れると光と眺めのほうが勝ちます。
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