オランダの医療保険制度をわかりやすく解説|日本の健康保険との違い・加入義務・注意点まとめ
オランダに住み始めると、早い段階で必ず向き合うことになるのが「医療保険の加入」です。
日本では、会社員なら社会保険、自営業や無職なら国民健康保険と、半ば自動的に加入する仕組みになっています。
一方、オランダの医療保険は考え方も手続きも大きく異なり、自分で理解し、選び、加入する必要があります。
「民間保険なのに加入が義務?」 「GPって何?いきなり病院に行けないの?」
初めてだと戸惑うポイントも多いですが、仕組みを一度整理してしまえば、決して難しい制度ではありません。
この記事では、日本の医療保険制度と比較しながら、オランダの医療保険制度の全体像を解説します。
- オランダの医療保険制度の仕組み
- 基本保険と追加保険の保障の内容
- 保険料と自己負担額
- 医療保険の加入方法
オランダの医療保険制度の全体像
オランダの医療保険は「全国共通の最低限+足りない分を自分で補う」仕組みです。
オランダの医療保険は、大きく分けて次の2つがあります。
基本健康保険(Basisverzekering)
- すべての居住者に加入が義務付けられている
- 保障内容は国が定めており、全国共通
- 生活に必要な最低限の医療をカバー
追加保険(Aanvullende verzekering)
- 任意加入
- 基本保険でカバーされない医療を補う
- 保障内容・上限額は保険会社ごとに異なる
基本健康保険・追加保険ともに、窓口はすべて民間の保険会社です。
日本だと基本は公的医療保険でカバーされますが、オランダでは、生活スタイルに応じて、追加保険の内容も自分で選ぶ形になります。
誰が加入する必要がある?
次のいずれかの条件に当てはまる人は、基本健康保険への加入が原則として義務です。
- オランダに居住登録(BRP登録)をしている
- オランダで働いている、または給与を受け取っている
※就労していない留学生や、外交官とその家族など、一部例外があります。
加入期限
オランダの基本健康保険は、
居住開始日(住民登録日)から4か月以内 に自分で(またはエージェントなどを通して)加入する必要があります。
期限を過ぎると、
- 未加入期間分の保険料の遡及請求
- 罰金(ペナルティ)
が発生する可能性があります。
基本健康保険(Basisverzekering)の保障内容
保障内容は国によって定められており、どの保険会社でも内容は同じです。
主な保障内容は以下の通りです。
- ホームドクター(GP)の診察
- 専門医の診察(GPの紹介状が必要)
- 入院・手術
- 救急医療
- 妊娠・出産に関する医療
- 一部の処方薬
- 精神医療(条件あり)
任意の追加保険(補足保険)の主な保障内容
保障内容・上限額は保険会社ごとに大きく異なりますが、主な内容は以下の通り。
- 歯科治療(成人の虫歯・矯正)
- 理学療法(フィジオセラピー)
- 代替医療(鍼灸・カイロなど)
- 視力検査、眼鏡・コンタクトレンズ
- 海外での医療費補償(短期旅行)
保険の見直し時期
保険の見直しは年に1回可能(12月31日までに行い、翌年1月1日から適用)。
毎年12月が保険の切り替えシーズンとなっており、この時期に自分の保険プランを見直し、他の保険会社に変更することができます。
基本健康保険の自己負担額(Eigen risico)
Eigen risicoとは、 1年間(1月〜12月)に自己負担する医療費の上限額のことです。
オランダでは、毎回◯割負担ではなく、年間の自己負担上限(Eigen risico)に達するまでは原則100%自己負担、 達したらその年は原則0円という仕組み。
※18歳未満は基本的に自己負担なし
金額の目安
法定の基本額は国が定めており、近年は 年間385ユーロ前後が水準です(2026年も385ユーロ)。
この金額は、どの保険会社・どのプランでも共通です。
一部の保険会社では、
- 法定額+任意の上乗せ(100〜500ユーロなど)
を選ぶこともできます。
自己負担額を高く設定すると、月々の保険料が安くなります。
ただし、医療を使った年は支払いが一気に増えるので、上乗せは健康に自信がある人向けです。
自己負担に含まれるもの・含まれないもの
自己負担に含まれるもの
- 専門医の診察
- 病院での検査・治療
- 入院・手術
- 一部の処方薬
- 精神医療(条件あり)
自己負担に含まれないもの
- ホームドクター(GP)の診察
- GPによる基本的なケア
- 妊娠・出産に関する標準医療
- 一部の予防医療
つまり、ホームドクターの診察は基本的に自己負担なしです。
この仕組みが、「まずはホームドクターを受診する」オランダ医療制度の根幹になっています。
ホームドクター(GP)制度について
オランダでは、体調不良の際はまずホームドクター(Huisarts / GP)を受診します。
日本のように、初診から自由に専門医や大病院を受診することは原則できません。
- まずGPを受診
- 必要と判断されれば専門医へ紹介
という流れが基本です。
追加保険(Aanvullende verzekering)の自己負担の考え方
追加保険は「項目ごとの上限・回数制」
追加保険では、医療の種類ごとに
- 年間〇ユーロまで
- 年間〇回まで
- 〇年に1回まで
といった 個別の上限(枠) が設定されています。
たとえば、
- 理学療法:年間9回まで
- 歯科治療:年間最大250ユーロまで
- 眼鏡・コンタクト:2年に1回、最大100ユーロまで
といった形です。
この枠内であれば保険が適用されますが、上限を超えた分は全額自己負担になります。
追加保険の利用分は Eigen risicoにはカウントされません。
基本保険の自己負担上限を使い切っていても、追加保険の枠が増えることはありません。
例)① 基本保険のケースで受診
・病院で検査・治療
・年間385ユーロを支払う
→ここでEigen risico達成
→この年は入院・手術などの基本保険対象医療は原則0円
② そのあと歯医者に行ったら?
・歯科治療:300ユーロ
・追加保険の上限:年間250ユーロまで
→保険から出るのは250ユーロ
→残り50ユーロは自己負担
追加保険は「使う前提」で考える
追加保険は、「万が一のため」ではなく「実際に使う予定があるかどうか」で判断するのがオランダ流です。
- 歯医者に定期的に通う
- フィジオセラピーを受ける予定がある
- 眼鏡・コンタクトの買い替え予定がある
こうした具体的な予定がある場合に、必要な分だけ追加保険を付けるのが合理的な選び方です。
保険料の目安
日本の健康保険は収入に応じて保険料が変わりますが、
オランダの基本健康保険は、収入に関係ない月額制です。
目安は以下の通り。
- 基本健康保険:月額 約150〜170ユーロ程度
- 追加保険:内容により 月数ユーロ〜数十ユーロ
※収入が低い場合は、医療保険手当(Zorgtoeslag) を受け取れる可能性があります。
医療保険の加入方法
加入の流れはシンプルです。
- BSN番号を取得(住民登録)
- 保険会社・プランを比較
- オンラインで申し込み
- 保険証書・契約内容を確認
まとめ
オランダの医療保険制度は、日本と比べると「自己管理・自己判断が求められる」という特徴があります。
一方で、保障内容は全国共通で医療水準も高く、制度を正しく理解すれば安心して利用できる医療保険制度です。
これからオランダで生活を始める方は、早めの保険加入と、自分に合った追加保険選びを意識してみてください。
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