Netherlands

日本とオランダの働き方比較|労働時間・パート裁量・育児制度の違い

こんにちは、さちこです。
最近、オランダに移る準備をしながら、働き方のことをよく考えるようになりました。せっかくなので、日本とオランダの違いを整理してみます。

労働時間とワークライフバランス

日本:正社員中心で長時間勤務が常態化

OECDデータによれば、日本の年間平均労働時間は約1,600〜1,700時間(2023年)。これはOECD平均(約1,750時間)よりやや短めですが、正社員に労働時間が偏り、長時間労働が常態化しているケースが目立ちます。韓国やメキシコよりは短いですが、ドイツやデンマークと比べると依然として長いです。

※OECDの統計は、各国の労働力調査などをもとに「実際に働いた時間(残業・短時間勤務を含む)」を集計しています。休暇や病欠などは控除されるので、「純粋に働いた時間」の平均です。就業者にはフルタイム・パートタイムを問わず、従業員と自営業者が含まれます。

オランダ:短時間でも高い生産性

年間労働時間は約1,400時間前後で、OECD最短クラスです。1日・週あたりの労働時間を短く抑える傾向が強く、パートタイム雇用率は約50%と世界トップです。これは、下記で触れるように「生活と仕事を分ける文化」が根づいているためと考えられます。

日本は「フルタイム前提でキャリアを積む」環境がありますが、オランダは「働きすぎないこと」を社会全体で肯定しているのが特徴です。

オランダの生産性は大丈夫?

ここで気になるのが「そんなに働かなくて経済は回るの?」という点。実はオランダ、労働時間が短いのに生産性は高いんです。

  • 時間あたりGDPは世界上位
    2023年のデータだと、日本よりも約1.3倍高い水準。短時間でも成果を出すスタイルが浸透しています。
  • パートタイムでも責任ある仕事
    オランダでは法律で、パートタイムだからといって業務内容や責任を制限してはいけません。そのため、パートで働いても正社員と同じ業務内容・責任を持つケースがあります。
  • 休むことが前提の文化
    まとまった休暇をとってリフレッシュするため、仕事中のパフォーマンスが落ちにくいです。
  • 柔軟な労働市場
    必要に応じて人材をパートやEU域内の移動で補えるため、人手不足で回らない事態も起きにくいです。

ざっくり言うと、オランダは「集中力で勝負」という感じです。

雇用形態と柔軟性

日本:柔軟な働き方で両立しやすい

正社員と非正規の二極化が根強く、キャリアの柔軟性は低めです。
副業解禁は広がりつつありますが、実務面でのハードルはまだ高いです。

オランダ:パートタイムでも昇進・福利厚生あり

パートタイムが一般的で、パートでも昇進・福利厚生が保障されるケースが多いです。
フルタイム/非正規の格差が少ないことが強みです。

社会保障

日本
  • 年金・健康保険・失業保険は整備済みで、フルタイム正社員の場合は手厚い。
  • パートタイムや非正規では、保険や年金の加入条件がフルタイムほど恵まれない場合がある。
オランダ
  • 年金・健康保険・失業保険などの制度は日本と同等に整備されているが、文化的にも「生活を守る」前提で利用しやすい。
  • パートタイムでも社会保障や仕事上の権利はフルタイムとほぼ同等。

両国とも制度自体は整っているが、オランダは文化と運用が柔軟で、働き方に応じて社会保障を活用しやすいのが特徴。

育児と仕事の両立

日本:復帰後サポートは不十分

育休制度自体は長期ですが、復帰後のサポートが不十分です。
待機児童問題は改善傾向にありますが、延長保育の柔軟性が不足しがち、「小1の壁」(小学校に上がると保育時間が短くなり、放課後の預け先が足りない)も大きな課題です。
特に、「急な発熱時に預け先がない」「時短勤務だとキャリアアップが難しい」といった点で辛さを感じます。

オランダ:柔軟な働き方で両立しやすい

保育費用は高額ですが、国からの補助が手厚く、父親の育児参加が当たり前です。
学校も「午後は家で過ごす」文化があり、職場でも「子どもの迎えで帰ります」と言いやすい雰囲気があります。
制度だけでなく、文化の寛容さが大きな支えになっています。

外国人労働者の受け入れ

日本:技能実習・単純労働が中心

少子高齢化に伴い外国人材の受け入れが進んでいますが、中心は技能実習や単純労働です。
言語や文化の壁も課題です。

オランダ:多国籍環境で英語勤務も可能

EU域内からの移動が活発で、英語で働ける企業も多いです。
多国籍環境に慣れており、「外国人も当たり前にいる」前提で社会が動いています。

価値観と社会制度

日本:仕事中心、長期雇用の安心感

「仕事を中心に人生を組み立てる」価値観が根強く、努力や勤勉さが評価されやすいです。
社会保障制度は安定的で、長期的な雇用の安心感があります。

オランダ

「生活が中心で、仕事はその一部」という価値観です。
ベーシックな生活を保障する制度があり、万一仕事を失っても生活が極端に不安定になりにくいです。

まとめ

日本の良さ
  • 安定した雇用
  • 社会保障の充実度
  • 勤勉さを支える文化
オランダの良さ
  • 短時間労働と柔軟性
  • 子育てと仕事の両立のしやすさ
  • 外国人受け入れの寛容さ

日本は「安定と努力」、オランダは「柔軟と生活重視」
調べてみると、オランダがめちゃくちゃ良く見えましたが、実際に暮らしてみないとわからない部分も多いです。
これからオランダで暮らしていく中で、この違いを体感した際は、また書いてみたいと思います。

参考文献

  • OECD, Hours worked (indicator), 2024. oecd.org
  • Eurostat, How many hours do Europeans work per week?, 2025. ec.europa.eu
  • Financial Times, The Dutch working week is the shortest in the EU, 2024.
  • The Global Economy, Japan: Hours worked, 2023. theglobaleconomy.com
  • 厚生労働省, 「令和5年就労条件総合調査」
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さちこ
こんにちは、さちこです。 関西在住のアラサー主婦です。 2025年の終わり頃から、夫の仕事の都合でオランダへ移住予定。現在はその準備を進めながら、日々のことや暮らし、働き方について、マイペースに書いているブログ「さちこの無職日記」を運営しています。 以前は公務員として働いていましたが、 文章を書くことに興味を持ち、今はブログを通して、発信する楽しさを学んでいるところです。 このブログでは、 - 海外移住に向けた準備のこと - これからの仕事のこと - 暮らしや30代を見据えたライフプラン などを、等身大の言葉でつづっています。 同じように、海外移住や働き方に悩んでいる方、ライフステージの変化に向き合っている方に、少しでも役立つ情報や共感が届けられたら嬉しいです。 どうぞ、よろしくお願いします!

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