なぜ漫才は海外に存在しないのか|オランダで暮らして気づいた日本の笑い
こんにちは。さちこです。
日本で暮らしていた頃は当たり前だったものが、
海外に出て初めて「特殊だった」と気づくことがあります。
きっかけは、昨年のM-1グランプリでした。
昨年はオランダから、TVerで敗者復活戦からリアルタイム視聴しました。
朝7時。日本ではゴールデンタイムのお笑いを、
こちらでは朝ごはんを食べながら観る、という不思議な体験です。
そのとき、ふとこんな疑問が浮かびました。
この国、芸人ってどこにいるんだろう?
この記事では、オランダで暮らしてみて感じた
「芸人が見当たらない」という違和感をきっかけに、
- オランダに芸人はいるのか
- 漫才という形式は海外に存在するのか
- なぜ日本の漫才は日本だけで発展したのか
を整理して書いています。
オランダに芸人はいるのか?
結論から言えば、オランダにもコメディアンはいます。
スタンドアップ・コメディアンや、舞台を中心に活動するパフォーマーは実在し、劇場やクラブ、ラジオなどで活動しています。
ただし、日本で想像される芸人とは、立ち位置がかなり違います。
日本では、芸人はテレビの中心にいて、複数人で掛け合いをし、
笑いを生み出す専門職として明確に認識されています。
一方オランダでは、コメディはあくまで表現ジャンルの一つ。
コメディは、俳優や脚本家、風刺家、番組制作の一部として位置づけられることが多い。
海外(オランダ)にあるコメディのかたち
オランダで主流なのは スタンドアップ・コメディ です。
一人で舞台に立ち、日常や社会、政治について語る。
誰かが正解を示すわけではなく、笑うかどうかは観客に委ねられます。
日本の漫才のように、観客全体を一瞬で同じ理解に連れていく構造はなく、
- 考えさせるもの
- 違和感を共有するもの
に近い印象です。
そもそも漫才って、海外に存在するのか?
日本の芸人を象徴するものといえば、やはり漫才です。
2〜3人1組で、ボケとツッコミという役割があり、決まったテンポと構造を持つ。
観客はその「型」を理解したうえで笑います。
では、この漫才という形式は、海外にも存在するのでしょうか。
結論:漫才は海外にはほぼ存在しない
結論から言うと、日本の漫才と同じ形式のものは、海外にはほぼ存在しません。
海外にも二人組のコメディはあります。
ただしそれらは、
- 役割が固定されていない
- 即興性が高い
- 会話の延長として笑いが生まれる
といった特徴を持つことが多い。
ボケたらツッコむ、ズレを言語化して回収する、という構造は、海外では一般的ではありません。
ツッコミは、観客全体が共有している前提を瞬時に言語化する役割を担いますが、
こうした集団的な了解を前提とする笑いは、日本文化に強く依存しています。
日本の漫才はどうやって生まれたのか
日本の漫才には、はっきりとした歴史があります。
起源は、関西の話芸や、正月に行われていた「万歳(まんざい)」。
昭和に入り、ラジオやテレビが普及すると、漫才は短時間で笑いを取る高度な技術として進化しました。
役割の固定、テンポの最適化、型の共有が進み、
「誰が見ても漫才だとわかる芸」になっていきます。
この発展は、放送メディアと強く結びついています。
なぜ日本の漫才は海外で発展しないのか
日本の漫才が海外で発展しにくい最大の理由は、
言語構造と文化的前提に強く依存しているからだと思います。
漫才におけるツッコミは、単なる訂正や否定ではありません。
相手の発言を即座に理解し、「ズレ」を瞬時に言語化して指摘する、高度な言語運動です。
日本語特有の省略や曖昧さ、空気を読む前提があるからこそ成立しています。
また、日本の漫才は「会話そのものが芸になる」文化の上に成り立っています。
海外のコメディでは、笑いの単位は話術よりも、物語やキャラクター、状況設定に置かれることが多い。
さらに、漫才は寄席文化やテレビ文化と結びついて発展してきました。
舞台の前提、観客との距離感、笑うタイミングの共有など、暗黙の了解が非常に多い。
これらは、形式だけを持ち出して再現できるものではありません。
まとめ:オランダに芸人がいないのではなく、日本の笑いが特殊だった
オランダにもコメディアンはいる。
スタンドアップも、寸劇的なコメディも存在する。
お笑いそのものがないわけではありません。
ただし、
- 漫才のような二人一組の定型芸
- ボケとツッコミという明確な役割分担
- 短時間で正解を回収する構造
こうしたものは、海外にはほとんど存在しない。
コントに近い表現はあっても、それは芸人の専売特許ではなく、
演劇や風刺、表現の一手法として扱われています。
つまり、
オランダに芸人がいないのではなく、
日本の芸人像がそのまま当てはまらないだけでした。
海外に出て初めて、日本のお笑いが当たり前ではなかったことに気づきます。
オランダで芸人が見えにくいのは、この国に笑いがないからではない。
日本の笑いが、思っていた以上に日本的だったからです。
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