こんにちは、さちこです。
ただいま絶賛オランダの家探し中。私は現地には見に行けないので、GoogleマップとGoogleアースが私の新居候補ツアーガイド。
で、画面越しに街をうろついてて思ったんですよ。
「なんか公園多くね?」
住宅街の角を曲がれば芝生広場、運河沿いはサイクリングロードと木陰、住宅の真ん中にも小さな遊具スペース。
なんかもう「緑に囲まれて生きる」が当たり前っぽい。
気になったら調べたくなるのが元・行政マンの性。結果、「公園が多い理由」がけっこう面白かったので、今日はそれを無職日記に記しておきます。
オランダの都市計画、そもそも環境優先すぎる
オランダの都市部って、緑地率が平均42%もあるらしいです。
都市面積のほぼ半分が緑。森ですか?
この背景には、オランダの歴史的事情があります。国土の大部分が海面より低く、水害リスクが高い。だから昔から堤防・運河の整備が死活問題だったんですね。
でも彼らは防災施設をコンクリで固めるだけじゃなく、その周りを緑地にして市民の憩いの場にしてしまった。洪水の緩衝地帯でピクニック。
特に有名なのが「ルーム・フォー・ザ・リバー計画」。
ざっくり言うと「洪水が来そう?じゃあ川の幅を広げて、周りを緑地にしちゃえ」という政策です。
結果、防災と環境保全と住民のQOL(生活の質)を同時に上げてしまうという三刀流。合理的なオランダ人らしいですね。
さらに、2024年から施行された「環境・空間法(Omgevingswet)」では、都市計画と環境保護を一元管理する体制が整備されました。
要は「緑を減らす開発は許さん」って感じ。
生活の質を全力で底上げする緑の作戦
公園は単なる遊び場じゃなく、子どもからお年寄りまでの交流の場。
例えばアムステルダムの公園には安全性高めの遊具やバリアフリーな散歩道が標準装備。
健康志向強めのオランダ人は、緑の中を自転車で爆走しながらも芝生で昼寝します。
GIS(地理情報システム)の分析によれば、オランダの都市住民の約20%は「1戸あたり75㎡の緑地」という政府推奨基準を満たしていないそうなんですが、それでも400m以内に公園がある確率はめちゃくちゃ高い。
つまり、家から徒歩5分以内に「ちょっと一息つける緑」がある生活がデフォ。精神的健康にも良いことは研究でも証明済み。
日本と比べると…
日本の都市部の緑地率は10〜15%程度。
「うちの近所、公園まで徒歩15分」なんてのも普通です。
しかも日本の公園は子ども向けがメインで、大人がのんびり読書したり昼寝する文化はあまり根付いていません。
自転車道も公園と連動しているケースは少なく、「緑+移動+健康」をワンセットにしているオランダとは発想が真逆。
制度面でも大きな差があります。
オランダのOmgevingswetは、都市計画・環境保護・インフラ整備を一元的に管理する仕組み。
日本は都市計画法、環境基本法、建築基準法、道路法…と分野ごとの縦割りで、「街全体として環境をどう守るか」をまとめて考える枠組みはほぼありません。
もちろん日本にも「緑被率」を定めて敷地を緑化する条例はあります。
東京都心では屋上や壁面に植物を植える“壁面緑化”もよく見かけます。
でもあれは公共利用できるスペースというより、所有者の敷地内での飾りや環境負荷軽減が目的。
オランダの「誰でも使える公共空間を増やす」という発想とは方向性が異なります。
結論:オランダの公園は、政策と文化の合作
- 防災と環境保全を両立させた都市計画
- 健康志向とコミュニティ形成を支える生活インフラ
- 緑地を守る法律の整備
この3つが揃った結果、オランダは「公園が多い国」となりました。
Googleマップで上空から眺めても、その緑の密度に驚かされます。
オランダを訪れる際は、ぜひ街中に点在する公園にも注目してください。
参考に行きたい公園(引っ越したら)
- フォンデル公園(アムステルダム)
都会ど真ん中にある巨大な緑地。カフェもあるし、たぶん週末は引きこもれない。 - ユトレヒト植物園
都市の中の自然博物館みたいな存在。 - ルーム・フォー・ザ・リバー緑地帯
洪水対策がもはや観光スポットになった場所。防災とピクニックの融合を体験したい。
参考資料
- Room for the River(ルーム・フォー・ザ・リバー計画)
- 洪水対策と緑地創出を両立させた、オランダ政府による空間再構築プロジェクト。
- → [Room for the River 概要 – Rijkswaterstaat] (オランダ政府機関) rijkswaterstaat.nl
- 環境・空間法(Omgevingswet / Environment and Planning Act)
- 都市開発や環境保全を一元化する法律として、2024年1月1日から施行。
- → [Environment and Planning Act – Government.nl] Government.nlウィキペディア
- オランダ都市部の緑地率データ
- 欧州環境機関(EEA)による都市部の緑インフラ割合の比較(都市面積に占める割合)。
- → [Percentage of total green infrastructure – EEA] European Environment Agency
- GISによる住宅周辺の緑地分析
- オランダ政府系の研究機関による、住宅から500m圏内における緑地の実態分析です(目標値:75 m²/戸)。
- → [Green in the city: Design and construction – Planbureau voor de Leefomgeving] アトラス自然資本
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